【三大流星群】46億年の時を超えて届く「宇宙の手紙」
流れ星に願い事をしたことはありますか? 一瞬で夜空を駆け抜け、消えてしまうあの儚い光。
実はあの光には、太陽系誕生の秘密が隠されていることをご存知でしょうか。
今回は、偶然の幸運ではなく、宇宙の法則が生み出す壮大な天体ショー「流星群」の謎に迫ります。
目次
– 偶然ではなく「必然」の出会い:三大流星群
– 流れ星の正体:塵
– 母天体の故郷:カイパーベルト
– おわりに:宇宙からの手紙を受け取ろう
偶然ではなく「必然」の出会い:三大流星群

流れ星は、宇宙を漂う塵と地球が、約束された場所で出会うことで起こります。太陽系の力学に基づいた、いわば必然の出会いなのです。 特に多くの流星が見られるのが、しぶんぎ座流星群、ペルセウス座流星群、ふたご座流星群の「三大流星群」です。
気まぐれな「しぶんぎ座流星群」

AdobeStock
しぶんぎ座流星群は、1年の最初を飾る流星群で、極大は1月4日頃になります。この流星群の面白いところは、非常に気まぐれであるということです。そのため、ある年はたくさん流れ、ある年はさっぱり、ということがよく起こります。
毎年安定して多くの流れ星が見られるペルセウス座流星群と対照的です。 この両者の違いは、流れ星の元になる塵の帯「ダストトレイル」の構造が関係しています。ペルセウス座のダストトレイルは幅が広く、塵が比較的均一に分布していますが、しぶんぎ座のダストトレイルは非常に細く、しかも塵が濃い部分が偏っています。

by Nano Banana
地球がダストトレイルに突入すると流星が流れるのですが、ダストトレイルが細いしぶんぎ座流星群では、この範囲を通過する時間が短いため、結果として流星群の極大のピークはわずか数時間となるのです。 さらにミステリアスなのが、その塵をまき散らした「母天体」がまだはっきりとは特定されていないことです。
ある説によれば、小惑星2003 EH1が有力候補とされていますが、2003 EH1自体が塵を放出している様子は観測されていません。そのため2003 EH1は、活動を終えた彗星の抜け殻ではないかと考えられています。
優等生の「ペルセウス座流星群」

AdobeStock
ペルセウス座流星群は、夏休みの自由研究でもおなじみです。ペルセウス座流星群のダストトレイルは、塵が均一に広がっているため毎年安定して夜空を彩ってくれます。まさに流星群の王道です。
ペルセウス座にある放射点は、夕方には地平線の上にあり流星が出現する可能性があります。しかし、実際に流星を目にし始めるのは、もう少し放射点が高くなる21~22時頃となります。さらに、本格的に流れ始めるのは0時を回ってからです。明け方まで放射点は高くなり続けるので、空が白み始めるまで観察しやすい時間帯が続きます。
母天体はスイフト・タットル彗星(109P/Swift-Tuttle)で、太陽の周りを約130年かけて回っています。
ダイナミックな「ふたご座流星群」

AdobeStock
毎年ほぼ一定して、多くの流星が見られるという点では、ふたご座流星群は、年間最大の流星群と言えるでしょう。条件の良いときに熟練の観測者が観測すると、1時間に100個程度の流星を数えることは珍しくありません。
放射点は、ほぼ一晩中夜空で見えているため、夕方から明け方まで流れ星を見ることができます。深夜の2時頃には、放射点がほぼ天頂に来るので、流れ星が真上から降ってくるように見られます。

AdobeStock
母天体は、ファエトンという名前の小惑星番号 3200 番の小惑星だと言われています。非常に古くには彗星として塵を放出していて、その後彗星活動を停止して小惑星になったとも推測されていますが、まだその確証はとれていないのが現状です。
流れ星の正体:塵

AdobeStock
ところで、流星群の壮大なショーの主役は、実は想像を絶するほど小さな存在です。
母天体である彗星の核は直径数キロから数十キロメートルありますが、流れ星の元になる塵の大きさはほとんどが1ミリメートル以下、大きいものでも数センチ程度になります。 この小さな砂粒が見事な光のショーを繰り広げるのです。

では、その仕組みを紐解いていきましょう。
母天体である彗星が太陽に近づくと、太陽の熱で表面の氷が溶けて、ガスと一緒に内部の塵を宇宙空間に放出します。わかりやすく例えるなら、太陽の熱でくしゃみをして塵をまき散らす、といったところです。 放出された塵は母天体の軌道に沿って目に見えない「塵の川」、ダストトレイルを形成します。
地球が毎年、公転軌道上の同じ場所でこの塵の川を横切るため、毎年同じ時期に同じ流星群が見られるのです。 塵は秒速数十キロメートルという猛スピードで地球の大気に突入します。 その衝撃と摩擦で小さな塵も、そして周囲の大気も摂氏数千度という高温になり、プラズマ化して光を放つのです。 これが流れ星の正体です。
プラズマとは
プラズマとは、固体・液体・気体に続く物質の第4の状態で、気体にエネルギーが加えられることで原子や分子が電離し、イオンと電子が混在する状態になること。
母天体の故郷:カイパーベルト

流星群の大元である彗星たちは一体どこからやってくるのでしょうか?
母天体の故郷は太陽系の最果て、「カイパーベルト」と呼ばれる領域だと考えられています。 カイパーベルトは海王星の軌道のさらに外側に広がる、無数の氷の天体が集まった領域です。 ここは太陽から非常に遠く、マイナス200度以下という極低温の世界であるため、約46億年前に太陽系が誕生した頃の物質が、ほとんど変化しないまま凍り付いて保存されています。 カイパーベルトの天体は水やメタン、アンモニアなどの氷が主成分です。そして、この氷の天体こそが多くの彗星の起源だと考えられています。
カイパーベルトにある天体は、海王星との重力的なバランスである「軌道共鳴」という関係で安定した軌道を回っています。 ところが、何かのきっかけ、例えば他の天体の重力の影響でそのリズムが崩れると、一部の天体が軌道を外れて太陽系の内側へ向かう長い旅を始めることがあるのです。 その旅の途中で太陽に近づいて塵をまき散らし、それがダストトレイルとなります。
軌道共鳴とは?
2つ以上の天体が互いの重力の影響で周期的に力を及ぼし合い、軌道が変化する現象です。
おわりに:宇宙からの手紙を受け取ろう

AdobeStock
次に流れ星を見つけた時は、願い事をしつつ、こう考えてみてください。
「これは約46億年の時を超えて届いた、宇宙からの手紙なんだ」
科学が進んだ現代でも、ふたご座流星群の謎など、解明されていないことはたくさんあります。
今後、観測技術が進めば、今の常識がガラリと書き換えられる日が来るかもしれません。
そんな未知のロマンに思いを馳せながら、今夜はゆっくり夜空を見上げてみませんか?



